DX推進の醍醐味は、人材の価値を高められるところにこそある
新型コロナウイルス感染拡大により接触を避ける生活を余儀なくされてから4年半。急速にオンライン化が進み、DX、AI、VRなどといった横文字が多く飛び交い、企業経営にとって欠くことのできない要素となった。
そこで、以前、DX推進に取り組み、重要だと思った3つのことについてお話したい。
まず、「場をつくる」ということ。
DX推進という新たな取り組みをはじめるにあたり、集まれる場だけつくり、希望者を募り、進め方を自由意志に委ねてみた。すると、「~が面倒だから改善しないと」と始まった会話が、だんだんと「~できたらいいよね!」に変わり、「いいね!」「それやってみよう」「やってだめならまた考えよう」とさらに変化し、トライアンドエラーを重ねながら実用化し、全社に発信してくれていた。自ら選択したことを楽しみながら取り組める場が、何をどう組み合わせると実現できそうかと構想する力、自ら生み出す力、成功を分かち合えるつながりを生み、推進に拍車がかかるのだと実感した。
二つ目は、「共に笑う」ということ。
笑いがあると、脳にエンドルフィンという分泌物が増え、集中力が高まると聞いたことがある。あなたの会社では、上司も部下も一緒に笑っているだろうか。上司は、組織としてDX推進に取り組むときには、上司として部下をフォロー・指導しなければなどと思わずに、メンバーに発見の旅をプレゼントしようという気持ちで大らかに構えていただきたい。当然、メンバーがアドバイスや助けを求めてきたときにはサポートできるように、日々見守ることは大切だが、それ以外は、大幅な許容をもって待つこと、そして、手を差し伸べたい気持ちをぐっとこらえて一緒に笑うことで、メンバーの心理的障壁が下がり、失敗を恐れずに集中して未知のものに向かって飛び込める職場の状態が生み出せるのだと感じた。
三つ目は、「支える」ということ。
DX推進においては、リスクヘッジとして、セキュリティ強化や社内ルールの整備が必須であり、人事や総務の役割は大きいだろう。安心してDX推進に取り組めるよう、時に取り組んでいる社員と対話することで、取り組みの障害となっていることに先手を打てれば、リスク管理はもとより、その後の社内展開をスムーズに行うための支援ができ、変革のためのハブとなるのだと実感した。
以上、「場をつくる」×「共に笑う」×「支える」とかけ合わせた結果、DX推進により顧客や組織に新たな価値を生み出すことはもとより、取り組む人材一人ひとりの価値を高めることができたのではないだろうか。そして、その人材が経験を紡いでいくこと、人材の価値を活かすべく組織の将来像、人員構成・配置を考え、持続的成長につなげていけることこそがDX推進の醍醐味ではないかと考えている。
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