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column

やめられる才覚

こんな経験はないだろうか。
タバコをやめよう、お酒の量を減らそう等々である。
まず、なぜやめようと思うのか、体に悪いと思ったからなのか、お金の面なのか、それとも自分の意思を試すためなのか。
いろいろな理由はあるだろう。しかしその理由はやめるための心の踏み切り台にしか過ぎない。本当の理由とは何か、体に悪いことは悪い、それを知っていてやめない自分が一番悪い。この自己嫌悪から抜け出すこと、これが一番の理由である。

私の知り合いは、タバコをやめるのには自然にやめるのが良い、やめるのに力んではいけないと言った。至言だと思う。実際、風邪をひいたり喉が痛い時には自然と吸わなくなる。
体のため、お金のため、自分の意思のためと思ってはダメだ。ごく自然に自我の命ずるままにやめるのが決め手のようだ。

よく「今日からタバコをやめるぞ」と周囲に宣言して、持っていたタバコはもちろん、目の前からタバコに関するすべてのものを捨ててしまう人がいる。こういう人は才覚年令的にいうと低い。逆にタバコをいくつかしまっておいて、ライターや灰皿を身の回りに置きながらやめる人もいる。この方がやめやすいのである。
自然にやめるという心構えが大切なことはすでに述べたが、この自然さを身の回りに持つためにも、わざとらしい禁止は禁物。禁止による不安感、恐怖感に対しては、いつでも手にしようと思えば手にできるという安心感があればよいわけだ。空腹の時、そばに食べ物があれば安心だが、ないと少し不安になったりする。

仕事も日々の業務ルーティンを自身で見直しをして、優先順位をつけ、順位の低いルーティンをやめていくべきだ。そうでないとキャパオーバーに陥り、新しくアサインされた業務に対応できないようなことになってしまう。求められているのは、ひたすら業務を続けていくことより、成果を上げることだ。やめたことで新しいアイディアが生まれたり、新たなチャレンジをスタートさせるきっかけになる。肝心なのは、「やめることは難しいこと」という固定観念を捨てることと、力まず自然にやめられる才覚を持つことなんだと思う。

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