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column

部下を育てること

部下を育てることに関して、企業が大きな勘違いをしていると思うことがあります。
それは、部下はすべて同じ手法で育てるものだと考えているところです。
部下の人材には大きく2種類あり、ひとつは「成長する気がある部下」、もうひとつは
「成長する気がない部下」であり、これを最初に見抜くことが必要です。なぜならそれぞれに対応の仕方が異なってくるからです。

「成長する気のある部下」ですが、これは簡単です。まず話をキチンと聞いてあげる。もし間違っていればその場で軌道修正をして、あとは褒めていけば勝手に伸びていくのです。
ところが、こういった成長する気のある部下は少なく、やはり成長する気のない部下の方が多いと感じるのです。画一的な教育を受けてきて、あまり自分を出したらよくないのではないか、目立ちたくないし、お金もそんなに要らないとか、消極的な考えになっているのです。

そんな消極的な彼らは、いわゆるマニュアル人間であることをふまえて、やり方をこと細かく教えていくことがポイントになります。それから自分の頭で考えさせることが大事です。
「この先はどうすればよろしいでしょうか」と聞いてきたら「自分で考えなさい」と突き放す。「この先はあれをしなさい、これをしなさい」と指示するのは楽ですが、やっぱり自分で考えさせるには答えを教えてはいけないのです。

アメリカで生まれたファストフード店、とにかくマニュアル通りに仕事を進めることで有名ですが、これはアメリカという国事情がからんでいると言われています。それは英語も話せないスタッフを雇用して仕事をさせるため、この通りにやっていけば安全の最低限度が確保されるということです。マニュアルを使うと、どうしてもそれを絶対視する傾向があります。マニュアルにすべて頼ってしまうと進歩がなくなるのですが、このフード店では最低限度のレベルを整えて、そこからそれを超えて創意工夫を期待しているため、店ごとの良い点に少し違いが出ているようです。

また、最近の若手社員を育成するキーワードとしては、マズローのいう「自己実現」があります。仕事の選択は、面白いかどうかであり、この面白さでやる気や意欲が違っています。
例えばゲームソフトを開発する者は、二日や三日の徹夜も平気だし、営業も目標やノルマとなると嫌だが、ゲームとして捉えると面白くなる。スポーツ選手も競技で自己実現する喜びを分かっているから厳しい練習にも耐えているのです。

今のマニュアル人間である若手社員は、基本的に上司の意図を察する能力が欠落しているとよく聞きます。あ・うんの呼吸で仕事を進めるということもありません。
これからの上司は、仕事の面白さを伝え、自分で考えさせることが必要であり、上司自身が「仕事のマニュアル」を作り、こういう方針で進めていく、こういう方法で仕事をするようにと部下にしっかりと伝えていかなければなりません。この上司の作ったマニュアルを超えられた者が、将来のリーダー層になっていくことを期待しながら。

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