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column

鶏が先か、卵が先か ‐経営戦略と人材戦略の関連性‐

”組織は戦略に従う”
”戦略は組織に従う”
 前者は1962年にアルフレッド・チャンドラーが提唱し、後者は1979年にH・イゴール・アンゾフ提唱した考え方である。
各企業が中長期計画を立て、その中長期計画の中には人件費、今後の採用計画等が当然の如く織り込まれている。
戦略を立てる順序としては、先に経営戦略、後に人事戦略を立てる企業が多い。”組織は戦略に従う”と言える。

 VUCA時代と言われる今、予測困難な未来に対して経営戦略を立てることは困難を極め、
新型コロナウィルスによるパンデミックは、まさにその象徴と言えるのではないだろうか。

 新型コロナウィルスが発生したここ1、2年で、クライアントからの相談は下記の様なものがあった。
・リモートワーク下でのマネジメント
・設定した目標の下方修正
・賞与原資の確保
・雇用調整による人件費の削減
不測の事態への対応が後手に回った反省から、人事制度の設計だけではなく、人事戦略を考えたいという企業の相談が増えてきている。

 多くの企業は経営計画を立てたものの、急激な環境の変化までは想定しておらず、経営計画の下方修正を余儀なくされ、それに伴い人事戦略の見直しを図る。中には複数のシナリオをプランニングし、この未曽有の事態に対処している企業もあるだろうが、その数は非常に少ない。“組織は戦略に従う”という考え方であれば経営戦略→人材戦略の構図に違和感はないのだが、VUCA時代において、この構図が正しいと言えるのか。

 DX化、AI化が進み、ビジネスの潮流が非常に速く流れる中、競合他社との差別化に成功したとしても、その優位性は瞬く間に埋まってしまう。矢継ぎ早に新しい商品やサービスを企画しなければならないが、企画している間に競合他社が商品、サービスを提供し始めている。

・MBO(Management by Objectives)では新たな商品やサービスは提供できない。我が社はOKR(Objectives and Key Results)を導入する!
・PDCAサイクルでは間に合わない。変化に対応するためにOODAループを活用する!

 この様な声をよく耳にする。経営計画を実現するために、制度や仕組みを変更し、変化に対応していく体制を整えることは重要である。しかし、“経営戦略が下りてくるのを待ち、人事戦略を立てる”では間に合わない。先に記載した通り、長期的な経営戦略はこの様な時代では有り得ず、ビジネス変化に対応するために絶えず経営戦略を練り直さなければならない以上、人事戦略は経営戦略を先読みして作る必要がある。

 人事部門に求められるものは、流動的な経営戦略にも対応できる人事戦略を立案することである。
つまり、“戦略は組織に従う”という考え方が非常に重要になってくる。
どちらが鶏でどちらが卵かではなく、人事戦略は経営戦略を実現するために立てられ、経営戦略は人事戦略に基づき立てる必要があると考える。

 これからの人事部門の役割は、“経営のパートナー”としての役割が大きくなる。
しかし、企業が人を選ぶ時代は終わり、人が企業を選ぶ時代となった今、 “従業員のパートナー”であることも決して忘れてはならない。

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