「人事制度 」の記事一覧(3 ページ目)|コラム|株式会社トランストラクチャ

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人事制度

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賃上げは企業の未来を変えられるか | 人事制度

賃上げは企業の未来を変えられるか

 「物価上昇以上の賃上げを!」をスローガンに賃上げ機運が高まっています。多くの大企業においては、かつてない強気な要求額があるにもかかわらず、満額で妥結が進んでいる企業も多い。円安による輸出企業の景気の良さなどが、その意思決定を後押ししていることもあろうかと思います。  大企業だけでなく、中小企業にもその効果を波及させるべく、賃上げによる税制優遇措置など、様々な政策が進んでいます。中小企業は大企業に比べて労働分配率が高く、生産性は低く、賃上げが利益への影響は大きい。よって様々な政策を駆使したとしても、その利益確保にかかる苦労は計り知れないものと思われます。日本の多くを占める中小企業にとって、容易で速攻性のある収益向上の施策は少なく、DXという「幻」に踊らされながらも、出来ることとして、恐る恐るそして必死に値上げ交渉を進めつつ、何とか賃上げの実現を目指している企業も多いと思います。社員の定着なき成長はあり得ない、人材確保という最大のミッションのもと、短期的な利益はいったん度外視し、株主への了承を取り付け、賃上げに踏み切る企業も多いと思います。  人的資源から人的資本への解釈が変わりつつあり、コストという短期的な視点から、投資という中長期的な視点が求められています。人材に対して労働力の対価は、賃金という意味合いだけでなく、将来に向けた投資という意味合いが強くなっていくことです。現在人的資本に関わる指標が多くありますが、人的資本ROIであろうと労働生産性や賃金生産性であろうとも、いずれにしても要素分解していくと、利益が最終的な指標の要素のひとつになってきます。当然ではありますが、人的資本経営において、利益を安定して確保、向上させていくことが条件ということです。  また今後「幻」では終わらせないようDXを推進する投資も積極的かつ継続的に挑戦し、飛躍的な成長や収益性の向上を実現させていかなければなりません。そういった挑戦の「果実」は短期的な指標だけではなく、3年や5年などの期間平均値やその期間の利益に影響を与える指標の決定係数など、中長期的な指標で見ることが有効になります。  非財務情報の開示が進んでいますが、指標をたくさん並べても、収益があがらなければ意味がありません。中長期的な指標の公開が進んでいくことが、イノベーションへの挑戦や人的投資に対する心理的なハードルを下げ、投資に対する積極性が高まっていく流れをつくっていくことはとても良いと思います。そして情報開示が進み、人的資本のPDCAサイクルをしっかり回すことで、収益向上と還元の好循環が多く生まれていかなければなりません。賃上げが企業の未来を変えるKPIとなるのかは分析や議論が必要なところですが、将来にわたり収益の安定した創出につながる企業独自の確からしい因子(KPI)が問われる時が、すぐ目の前に迫ってきています。あなたの会社の人的資本経営における最重要KPIは何ですか?

グローバルキャッチャー | 人事制度

グローバルキャッチャー

 わが国の人口動態は極めて悲観的だ。生産年齢人口の比率は2020年の約60%から次第に縮小し、2050年には50%あまりに低下する。国力を維持するためには労働力の確保が喫緊の課題であるが、女性の働き手の増加は概ね天井を打った。あとは、高齢者により長く働いてもらうか、外国人の労働者の力を借りる以外に打ち手がない。  他方、わが国企業のイノベーションは他の先進国に比べて遅れていると言われる。新しい発想を生み出すには人材の多様性が欠かせないが、総合職中心の年功序列・長期雇用の雇用慣習はむしろ、組織の同質性を助長する。この同質性を壊す施策の旗手は女性の社会進出だが、外国人の雇用も人材多様化の強力な一手になる。  いずれの側面を見ても、わが国の健全な発展のためには、外国人雇用を格段に増やすことは避けて通れない課題だ。    この状況に直面し、行政は、特定技能制度を導入したり、高度人材(高度専門職)制度を整えたりして、外国人にとって働きやすい環境を整備しようとしている。これまで、「技能実習制度」という耳に聞こえの良い言葉で安い労働力を確保しようとしてきた歴史があったが、今後は、そうではなく、本質的に外国人の知恵と技能を借りる方向に舵をきったと思える。  長く外国人の受入に消極的だったため、こうした行政措置については運用に慣れておらず、ちょっと腰が引けているのではないかと訝りたくなる面もあるが、法律を変えてでも何とか外国人を誘致しようとする姿勢は評価できる。    さて、企業の側はどうか。医療・介護や建設の現場ではすでに数多くの外国人労働者を受け入れているが、深刻な人手不足は解消されていない。また、ICTにかかわる業界においても外国人を登用しようとする動きが活発になってきている。なにしろ、わが国の大学や大学院が輩出する人材だけでは、ICT技術者の需要を満たさないという事情があるのだ。  ところが、多くの企業において、外国人を雇用する土壌が整っていない。まずは何よりも言葉の問題である。英語で話すことを苦手とする社会的事情は、ここ数十年まったく変わっていないのではないか。世界に目を向けると、第二外国語であれ英語を使って生活する人の数が15億人、全人口の約2割である。母国を離れて仕事をしようとするような人は、ほとんど英語を話す。一部のサービス業を除いて、仕事をするのにまず日本語を覚えなさい、というのはグローバルスタンダードから見れば無体な話だ。  次に、人事管理の問題。わが国に少なからず残っているのが、年功序列の慣習である。この仕組みの下では外国人の安定雇用は無理だ。年功序列には、若年の時代に相対的に低い報酬を甘んじて受け、中高年になってからその分高い報酬を受けて、生涯収入でペイするという性質、つまり、「賃金の後払い」がある。もともと長期雇用を前提としてないであろう外国人の若年層が、これを受け入れるはずがない。  良い例は、ICTの領域でスポットライトが当たっているインド人だ。この国の人々は、仕事に対する姿勢が日本人と少し違うと言われる。報酬をはじめとする労働条件が有利である限りにおいて雇用されるが、相対的に良い条件の雇い主が現れれば、躊躇なくそちらに鞍替えする。日本人が考えるほど雇い主に対するロイヤリティは高くないと考えるべきだろう。だから、長期雇用と年功序列の制度・慣習をそのままに、インドの優秀なICTエンジニアを雇い入れ長く働いてもらおうというのには無理があるのだ。    出張先の関西のホテルで朝食をとったときのこと。欧州人や中国人の客と、英語や中国語を操って朗らかに談笑するサービススタッフがいた。尋ねてみるとベトナム人だ。業務指示は日本語で受けるのだそうだ。サービス品質も語学力もたいしたものだ。これを見て思った。私たちは、ビジネスマンとして内向きに過ぎないか。経済の先進国だと高を括っていると、もはや危険水域に立ち至ってしまうのではないか。  昔、果敢に対外進出を志し、見知らぬ土地に出て行って働くことにあこがれた高度経済成長時代があった。今は、多くの外国人を受け入れるために、やはり、グローバル化を図らなければならない時代だ。私たちは、世界の労働力を受け入れるキャッチャーとして雇用の在り方を根本から考え直し、私たち自身の内なるグローバル化を進めなければならない。

ノーレイティングの時代は来るか | モチベーションサーベイ

ノーレイティングの時代は来るか

 先日、アメリカ企業に20年勤めていた知人が日本に戻り、日本企業に転職した際に人事評価にまだMBOを使用していることにびっくりしたという話を聞きました。  このMBO(Management by Objectives and Self Control)は、アメリカの経営学者ピーター・ドラッカーによって提唱され、日本に上陸したのは意外と古く1960~70年代と言われています。その後1990年代から多くの企業で導入され現在も広く使用されていますので、もう30年程度使用されていることになります。また現在、日本で導入されているコンピテンシー評価もアメリカ発祥の手法です。  これは人事評価やパフォーマンス評価の一環として使用され、社員の強みや改善のポイントを特定し、組織全体の目標達成に貢献するために役立つものとして使用されています。  前出の知人によると、アメリカでは人事評価そのものが廃止されていて、それは2010年頃からの動きとのこと。それまでは、社員個々の成果(業績)に基づき、事実ベースで評価を行い、結果に報酬を結びつけるというものが主流でした。ただ、現在の業務遂行においては多種多様なスキルが必要なことや、目に見える成果(業績)だけで判断することが難しくなってきたことが挙げられ、人事評価を撤廃する動きが急となったそうです。  人事評価を撤廃?と聞くと人事評価を行うことをやめたのかと思う方もいるかもしれませんが、人材や企業の成長を促すうえで、評価を行うこと自体をやめることはできません。人事評価をやめるというのは、人材に点数やランク付けをやめるということです。  本来、人事評価は社員のモチベーションを上げ、成長意欲や会社への貢献度を上げていくための人材育成ツールであるにもかかわらず、評価点数やランクが思ったより低く、逆にモチベーション低下を招いてしまったなんてことがあるのです。    そこで、アメリカでは「ノーレイティング」という手法に切り替えた企業が多く、GoogleやMicrosoft、Adobeをはじめ、有名な大手企業も取り入れています。  ノーレイティングは点数で評価を行うのではなく、目標に至るまでの行動内容、どのように目標を達成したのか、目標の見直しは行われたのかといったことも含め「面談」をこまめに行うことで人事評価を行います。また、ノーレイティングは行動改善なども評価の対象とするため、チームのコミュニケーションが取れ、改善するべき点が浮かび上がりやすくなります。また、業務遂行中にフィードバックなどを行うことにより、年度末にまとめて行っていた評価者の負担も軽減といったメリットもあります。  ここまでの流れでいうと、日本にはアメリカの人事評価の手法を取り入れる傾向が顕著で、今後日本でも人事評価がなくなっていくのかと思うかもしれません。しかし、今の日本で人事評価をすぐに撤廃することは難しいでしょう。日本では、アメリカですでに多くの企業が行っているタレントマネジメントが浸透しきっていないことが挙げられます。  日本企業は伝統的な組織文化を持っており、ヒエラルキーが強調され、社員のスキルや成果を評価するといった文化があります。このような文化では、タレントマネジメントが十分に評価されず、個人の成長と適材適所の配置に焦点を当てるのが難しいのです。  ノーレイティングは、数値評価や従来の評価スケールに頼らず、社員の個々の成長と発展に焦点を当てます。タレントマネジメントは、社員のスキルやキャリアの目標を明確にし、それを支援するためのプランを策定するプロセスです。これを組み合わせることで、社員の成長をより効果的に促進できるのです。  タレントマネジメントを導入するには、社内の現場や部門・部署を超えての連携が不可欠となります。そのため、タレントマネジメントが行き届いてからでないと人事評価を廃止・簡易化するのは難しいのではないでしょうか。  ただ、日本でもグローバルなビジネス環境の変化や若年層の価値観の変化により、タレントマネジメントの重要性が認識されつつあり、いくつかの企業では取り組みが進んでいます。何年後かには導入が進み、タレントマネジメントが当たり前の企業が増え、ノーレイティングを前向きに導入する時代が来るのかもしれません。 以上

人的資本経営と人事の反省会 | 調査・診断(組織分析)

人的資本経営と人事の反省会

 「人的資本経営」は、ここ数年人事の世界においては最も注目されている言葉の一つである。2020年に出された経済産業省 の 「人材版伊藤 レポート 」 、2022年に政府が「人的資本可視化指針」の中で、人的資本の開示項目を示していることなどの 影響 もあって、近年急速に議論が進み、経営課題として議論されるようになっている。 近年急速に発展した議論ではあるが、長らく人事の世界に身を置いていると、実はそれほど目新しい考え方ではない。人材を資源としてみるのではなく、資本として捉えるという概念整理には新鮮さを感じつつも、経営における人事の機能は今も昔も変わらないし、経営計画を実現するために極めて重要であることも変わらない。昔から我々は多くの企業と経営と人事の連動性や経営計画を実現できる人事管理を目指して議論をしてきたことを考えると、人的資本という言葉に代わったところで目指している姿にそう大きな差を感じていない。(もちろん様々な発展はあるが)また、多くの日本企業は長期雇用を前提とし、「企業は人なり」といって、人材を大切にし、長期的に人材を育成してきた。「投資」という言葉は使わないものの、人を育て、短期・中長期の観点から会社を発展につなげていくことの重要性は経営者であれば皆考えてきていることだろう。「無形資産」とはあえて言わないが、そう考えてきた人も多いはずだ。  だとすると、今も昔も変わらず、目指している人事のありようがあるが、そこに到達していない原因を認識しておく必要があるだろう。  そもそも、人事の世界はあるべき姿が曖昧で議論がしづらいと言われてきた。「人」に対する施策の効果測定は難しい。「人」に関する情報が可視化されていないので、人事について議論しようとしても同じ情報量で話をすることも難しく、議論がかみ合いづらい。故に経営と人事が連動しているかもわかりづらく、どう経営として実のある議論となっているのか自信も持てず、もやもやする。結果として、経営の議論として人事は後回しにされやすいのではないかと思う。また、仮に議論していたとしても経営目標達成のための人事全体としての大局的な議論ではなく、個別性の高い、ないしは個別課題に対する局所的議論であったりして、経営に資する人事という観点では本質的ではなかったりすることもあるのではないか。もっと個別に考えてみたらいろいろ出てくるだろう。人事基盤の設計の問題か運用の問題か。様々な施策の効果が測定できないからか。それとも人事機能の経営上の重要性を軽視していた、というスタンスの問題か。振り返っていただきたい。多くの企業が経営目標達成には、「変革人材が必要だ」「自律型人材は必要だ」といって人事基盤を整備して10年以上たつが、なぜ企業に変革がおきなかったのか。。  つまりは、「人的資本」という新しい概念が立ち上がったところで、議論の本質は変わらないし、また人事の領域の議論の難しさも変らない。よって、人的資本の観点で一生懸命議論しても、これからも目指している人事のありように到達しないかもしれない、ということだ。昔から人事が重要な機能であるということをわかりながらも、うまく経営と連動させることができなかったということに対して、まずはしっかり向き合う、ということが必要なのではないだろうか。  経営として人事について活発に議論されるようになったのは、人事としては好機である。伊藤レポートが「人事・人材変革を起こすのに、資本市場の力を借りようと試みた。」ということは確実に効果があったのではないかと思う。機関投資家や欧米の外圧によって、人事課題が検討せざるをえない経営課題になってきているのだ。今こそ経営としてしっかりと人事の反省会を開き、目指すべき人事のありようの実現の一歩を踏み出していただきたい。

50年後、定年はなくなります | 人事制度設計

50年後、定年はなくなります

 わたしたちは何歳まで働かなければならないのでしょうか。老後をそれなりに過ごすための金銭的な事情もあるでしょう。ずっと好きな仕事を続けたい、引き継ぐ人がいないから、などなど、置かれている立場などにもよって、働く目的は様々だと思います。また中高年の方にとっては、来るべくしてきた親の介護、突然の病気など、働きたくても働けなくなることもあるでしょう。若い方にとってはそんな先のことは考えたことないし、考えられないという方もたくさんいることでしょう。そんな未来をおぼろげながら理解し、不安に感じながら働いている方がたくさんいることでしょう。  昨年、高年齢者雇用安定法改正に伴い、70歳までの雇用延長が努力義務となりました。そして人生100年時代とのことです。人生を謳歌するという意味でいえば、寿命より大事なのは健康寿命です。厚生労働省によると健康寿命は女性で75歳、男性で72歳です。そして2001年から2019年で約3歳延びており、健康志向、安定した社会環境など、様々な影響を受けていると思いますが、しばらくはこの寿命も延びていくでしょう。そう考えると70歳までの雇用延長は、みんな70歳はまだ元気だから働いてください、ということなのでしょう。  そういった背景も受けて、定年後の再雇用制度の改定を予定している企業が増えています。多様な社員側の働く事情と、企業側の働いてほしいという需給のバランスを保つ、企業独自のシステムを構築していく必要性が高まってきています。ただその際に思うのは、数年先の程度の短期的な目線では、本質的な解決はできないということです。だれも未来がどうなっているかなどはわからない、そんな未来に自分はいないと思うと無責任になりがちで、パッチワーク的な課題の解決になりがちです。若い世代にまで視野を広げ、将来目指す組織のあり様などをイマジネーションするなど、継続的に取り組んでいく姿勢が今まで以上に求められているように感じます。  社員の健康や家族の状況など、企業の取り巻く組織の状況は変化し続けるでしょう。そして70歳まで働くつもりもなかった世代と、75歳以上働く可能性が高い若い世代の双方の健康寿命や時間、金銭的な価値観は変化し、そのギャップの意味も変化していくことでしょう。この変化し続ける複雑で難解な状況を踏まえながら、需要と供給のバランスを絶妙に保つために、人事のファンクションの継続的な強化はやはり避けられません。そして強化していくうえで、真っ先にしなければないことは、やはり目先の定年再雇用制度の見直しだけではありません。社員にとって企業の中で働くことの目的や意義は何かということに、向き合い続ける企業の覚悟が求められているのかもしれません。

その人事制度、機能していますか? | 人事制度

その人事制度、機能していますか?

 Google検索やChat GPTを使用することで、人事制度の設計の仕方、ポイント、様々な人事制度の事例などを知ることができ、人事担当者の皆さまも様々な情報を参考にし、人事制度について調べられているのではないでしょうか。  しかし、人事制度が機能しているかどうかの指標、検証の仕方など、どの指標が上がれば人事制度が機能しているかを教えてくれるサイトは、ほとんど見かけることはなく人事担当者の皆さまを悩ませているものの1つだと思います。  人事制度が機能している状態を検証する指標として、利益、生産性、社員エンゲージメントと、多くの企業はこの3つの指標から、人事制度が機能しているかどうかを判断しています。果たして、この指標が向上すれば人事制度が機能していると言えるのでしょうか。  例えばですが、外的要因によって利益が向上した場合、人事制度が機能した結果と言えるのか?というと、明確に機能したとは言えません。 ヒット商品が生まれたことにより、利益が向上し、その結果1人当たりの生産性が向上するようなケースも同様ですし、利益を賞与として社員に多く分配した結果、エンゲージメントが向上した状態も、人事制度が機能した結果であるとは言えません。  では、どの様な指標を設ければよいのか。この指標の話をする前に、まず、人事制度が機能する土壌が育まれているかが非常に重要となります。  具体的には、3つのポイントがございます。   ・人事制度設計の背景と目的(コンセプト含む)を、社員が理解し、浸透している   ・人事制度の運用に対して、経営層が本気で取り組んでいる    (その姿勢が社員に伝わっている)   ・管理職層(評価者)の教育が行き届いている  この3つが満たされていると、自ずと人事制度は機能します。その上で、人事制度が機能しているかどうかを検証する手段として、相関関係を用いた検証方法があります。  具体的な例として、評価制度が機能しているかどうかにフォーカスを当てて説明を致します。設定条件として、評価制度は、バリュー評価、行動評価(役割評価)、業績評価を実施している企業とし、人事制度の目的を“チャレンジする風土の醸成”とします。  バリュー評価が、チャレンジする風土の醸成につながっている。この場合、バリューを体現しているかどうかから、風土の醸成まで様々な要因があるため、バリュー評価結果の向上=チャレンジする風土の醸成とは言えません。そこで、下記の様な設問を設けて相関関係を検証します。   ≪原因指標:結果の原因がどこにあるかを示唆する指標≫     ①私はバリュー評価に納得している     ②私は行動評価(役割評価など)に納得している     ③私は業績評価に納得している   ≪結果指標:目的を達成するための施策(ここでは評価)の状況を測定する指標≫     ④私は当社で働くことで、自分の可能性を発揮できている   ≪期待効果:チャレンジする風土の醸成を測定する指標≫     ⑤私は難しい課題や今まで経験していなかった新しい業務に取り組めている。  原因指標内、原因指標と結果指標、結果指標と期待効果の間で強い相関関係が認められれば、バリュー評価がチャレンジする風土の醸成に統計的に有意な結果となったと言えます。  実は、人事制度が機能しているかどうかを判断する“単独の指標”は存在しません。今回ご紹介した検証方法や、”ROIEC逆ツリー”(内閣官房 非財務情報可視化研究会,第6回人的資本可視化指針(案),2022,p39)の様に、指標を設けるだけでなく、しっかりと要素分解を行い、論理的、構造的に関係性を説明できるようにすることにより、人事制度が機能しているかどうかを判断することができるのです。  人事制度は設計3割、運用7割とも言われていますので、しっかりと運用を行わなければ、意図した目的から逸れてしまいます。改めてお伝えしますと、人事制度が機能しているかどうかを検証するポイントは、   ・人事制度が機能するための土壌が育まれていること   ・目的を達成するための要素分解を行い、論理的、構造的に関係性を説明できること この2点が重要となります。  それでは最後に。貴社の人事制度は機能していますか?

理想と現実の見極め | 人事制度設計

理想と現実の見極め

 近年の人事制度設計の大きなトレンドの一つに、役割や組織への貢献度に応じた処遇を行う役割型制度への移行がある。部長や課長など、組織階層のポストの格付けに合わせて、一定の階差をつけた給与水準を設定する事などが役割型の人事制度に沿った制度構造である。  いままで、課長を担っていた人材が、部長に任用されることになれば、その役割の重さに応じて、等級が格上げされ、処遇もそれに応じて上がるという事や、逆に、高い役割を担わなければ、それに応じた処遇に留まるという事は、どんな役割を担っていても、年功的に処遇が上がっていくような仕組みにくらべて、人件費コントロールの観点からも望ましく、こうした役割型人事制度のコンセプトは、合理的なものであり、多くの企業で受け入れられ、導入されてきた。  そういう意味で、うまく機能するはずと考えて導入された役割型人事制度ではあるが、実際に導入していく中で、いくつかの不都合な現実に直面することがある。  その一つに、一度、任用した役職者をポストから外せないという事である。より重い役割のポストに任用し、処遇も上げる事は、さほど難しくないが、ひとたび、任に就いている部課長をその任から解き、非管理職のプレーヤーとしての処遇に下げるポストオフ人事を抵抗なく行える企業は、日本企業の中では、かなり少数に留まるだろう。実際、役割型制度を導入したものの、高い役割発揮を期待される若手の管理職候補を、既に任用している部課長をポストオフして、入れ替えることができないで苦慮している場面をあちこちで見かける。  日本で役割型制度を導入している企業の多くで、ポストオフが容易にできない背景には、与えられた役割の変化により、今まで支持を出していた上席者を、一転、部下として指示を受ける立場に切り替えることを容易に受け入れられない“文化”がある。年長者や先輩を敬う文化、あるいは、“かわいそう”の文化は、我々の心の中に、根強く染み込んでいるという事だ。日本人は、みな、心情的にドライになれない国民なのだ。  そういう事情を勘案して、役職定年制度を導入している企業は相当数、存在する。役職定年制度は、本来、年齢軸で、ポストオフの判断をする制度なので、ポストの役割に見合った人材をそのポストに任用し、役割に応じた貢献を担えるかどうかで、処遇を判断する役割型人事制度とは思想的には、合致しないが、役割を担えなくなった人材をポストオフするには、年齢という方便を使い、“合理的な制度”と“根強く浸透する文化”との折り合いをつけようとしていると言ってもよいだろう。  この一つの事象から見えてくるのは、グローバル化の中で、人材が流動化し、優秀な人材の維持、獲得のために、企業は、ジョブ型的な雇用や、役割や貢献度に応じた処遇制度への転換を図ろうとしつつも、長年、浸みついた日本固有の文化や国民性が、その理屈通りの運用を阻んでいるという構図である。  世の中の流れは、逆流することはないので、日本において、人材の流動化や役割に見合った処遇への移行は進んでいくだろうが、その流れに応じた我々の意識の変革や心情の切り替えには、一定の時間が必要な事を認識する必要があるだろう。経営戦略に応じて人事制度の見直しは当然、進めていかねばならないが、その際に、そこで働く我々の意識変革のスピードに配慮していくことが、新しい制度を浸透、定着にむけて大変、重要な事項であることを忘れてはならない。

信頼回復への鍵は人事の再構築!不正行為防止の具体策とは! | 人事制度

信頼回復への鍵は人事の再構築!不正行為防止の具体策とは!

 昨今、企業の不正行為が社会問題となっています。不正は企業の信頼を揺るがし、組織の健全性を損なうだけでなく、社会全体にも悪影響を及ぼします。このような不正が起こる背景には何があるのか。また不正を防ぐために人事としてできることについて考察してみたいと思います。  A社では、長年にわたり堅実な経営を築いており、業界でも名が知れるほど拡大しましたが、不正行為の発覚によってその信頼は揺らぎました。このような不正が起こる背景には、組織文化の欠如や報酬制度の偏りなどが挙げられます。経営陣が目先の成績に重点を置き、倫理観や社会的責任を軽視した経営方針が、不正行為を招いたのです。また、人材配置においても、適切なポジションに適切な人材を配置することが怠られ、モチベーション低下や不正行為への誘因となりました。  信頼回復と不正防止には、まず組織文化の再構築が不可欠です。経営陣が倫理観と社会的責任を実践する姿勢を示すことで、従業員に模範となる行動を醸成します。透明性を高め、情報の公正な共有を行うことで、不正行為を未然に防ぐ土壌を築くことが重要です。  最も着目すべきは過度なノルマです。それによる行き過ぎた昇降格制度にあります。評価制度において、数字至上主義的な短期的な成績だけ求める評価でなく、長期的な企業価値や社会的貢献を評価する仕組みを構築が必要です。成果主義だけでなく、倫理的な行動を評価し報酬に反映させることで、不正への動機付けを低減します。また不正行為に頼らずとも働きが評価される環境を整備することも重要になります。  適切な人材の配置には、個人の適性と組織のニーズを考慮した人事評価が欠かせません。適材適所の配置によって従業員のモチベーションを高め、不正行為のリスクを軽減することができます。  教育とトレーニングの強化も効果的です。従業員に対して倫理的な行動やコンプライアンスの重要性を理解させる教育を実施することで、不正行為への意識を高めることができます。リスクマネジメントのトレーニングによって、不正リスクを見極める力を養うことも重要です。  組織全体での協力と監視体制の強化が不可欠です。従業員が不正行為を報告しやすい環境を整えるためには、経営陣が不正行為を許容しない姿勢を示すことが不可欠です。内部監査や監督機関の強化によって、不正行為の早期発見と是正を図ることが重要です。  不正行為の防止には経営と人事の連携が不可欠であることを示しました。人事としてできることがこれだけあったのだと気づかれたと思います。信頼を築く組織への挑戦は容易ではありません。しかし、適切な人事施策を講じることができてさえいれば、A社も不正を未然に防止できて、ここまで大きく社会的信頼性を失うことはなかったのではないかと考えざるをえません。

組織の力を引き出すために、人間的な側面にフォーカスしよう | モチベーションサーベイ

組織の力を引き出すために、人間的な側面にフォーカスしよう

 『A社は、ほとんど異動がなく分業体制による業務の効率性を追求していたが、他社との競争に対応するために積極的なローテーションを導入。最初は異動に対する抵抗感が強く、象徴的な管理職の異動から始まり、徐々に一般社員も異動するようになった。異動者からは、「学びがあった」とその価値が周囲に広まる。部署間の理解を深めるために説明会やワークショップが開催された。複数業務経験を昇格の要件とし、毎年一定数の異動を実施。若年層から異動希望の声が上がるようになり、異動の順番待ちも発生した。積極的なローテーションにより、一部の業務効率や品質に一時的な低下が見られたが、会社は社員の能力向上を重視し、業務の標準化、業務マニュアルの整備、評価制度の見直しなど対策を講じた上で、方針を継続。入社時から異動が当たり前となり、異動経験者から未異動者への不満も生じたが、時間をかけて異動が当たり前の文化が形成された。』  この例では、少数の影響範囲から始めて、効果を感じた人から口コミを通じて変化の波は少しずつ広がっていきました。そして、新入社員に対しても同じ考え方を適用していくことで、早いスピードで適用者の比率が増え、徐々に組織全体へ浸透していきました。  しかし、ここで興味深いのは、途中から「異動しない人がずるい」というような声が大きくなり、「異動をしていない層」に対する同調圧力が強くなったことです。最初に異動の効果を感じた人は、新たな発見や自分自身が新しい何かをできるようになったことで、仕事の面白みや充実感を感じていたはずです。それが途中から、一部の層において変化していきます。制度の目的が腹落ちしていない、周囲との関係性の面から多数派でいたいなどの理由があったかもしれません。                   組織には、「ハードな側面」と「ソフトな側面」があります。組織のハードな側面とは、組織構造、制度や規則、職務内容や仕事をする上での手順などをさします。一方、ソフトな側面とは、人の意識やモチベーション、人々の関係性、リーダーシップ、組織の文化や風土などをさします。いわば、「人」や「関係性」など人間的側面です。どんなに立派な制度や精緻なルールを整備して、計画通り運用し、ハードな側面を整えても、組織のソフトな側面(人間的な側面)の影響で、当初のねらい通り、目的が達成されないことがあります。組織の力を強くするためには、両方の側面に焦点をあてて取り組むことが必要です。組織開発の先駆者であるダグラス・マグレガーは、「組織における人間的側面は重要なマネジメント課題である。」と主張しています。  人は、「いやいや仕方なしにやる」ことによっては活き活きとせず、その人が持つ力が発揮されません。自ら「面白がってやりたい」と感じた時に活き活きとし、その人らしさや力が発揮されてきます。ソフトな側面へのアプローチは、一朝一夕にはいきませんが、是非取り組みたい課題です。そしてそれは、人事領域に関わる方の仕事の面白味・充実感につながるのではないでしょうか。   以上

シニア人事制度 | 関連制度設計

シニア人事制度

 最近クライアントの人事担当者と話をしていると、シニア人材活用のテーマが多いと感じます。シニアの方々は、長年の経験と豊富な知識を持っているし、その経験や洞察力は、会社にとって非常に貴重な資源でもあります。だからこそシニア人事制度を再構築することで、彼らの経験や知識を最大限に活用し、会社の業績向上や問題解決に貢献してもらいたいといった内容です。ただ、そういった思いはあるものの、制度構築となると進んでいないのが現状のようです。  ご存じのとおり、2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法により、企業には70歳までの雇用が課されることになりました。この法改正で企業に求められる高年齢者雇用確保措置は「努力義務」の位置づけであるものの、大企業を中心に70歳までの雇用延長を制度化する動きが出てきており、多くの企業で高年齢者雇用の推進が急務となっています。 旧法では、   ①65歳までの定年引上げ   ②65歳までの継続雇用制度の導入   ③定年廃止のいずれかを講じることが企業に義務付けられていました。 今回の改正法では、   ①70歳までの定年引上げ   ②70歳までの継続雇用制度の導入   ③定年廃止   ④高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入 あるいは、70歳まで継続的に事業主が自ら実施する社会貢献事業や、事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度の導入のいずれかを講じることが企業の「努力義務」として課せられることになりました。  また、総務省統計局「人口推計」によれば、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は2021年10月1日時点で28.9%となっていて、この高齢化率は今後も上昇を続け、2036年には33.3%、つまり総人口の1/3が65歳以上になると推計されています。労働人口はどうかというと、若年層を中心に減少に転じており、今後必然的に、企業としてはシニア層(60歳代以上)の活用を推進せざるを得ない状況になってきているのです。  現在は多くの企業が65歳までの制度を有しているものの、65歳定年延長や70歳までの継続雇用制度については、まだまだ整備が追い付いていないのが実情です。65歳定年延長あるいは66歳以上の継続雇用制度の導入にあたっては、今よりも雇用期間を延長していくことに対してシニア層の処遇をどのように再設定するか、総額人件費の上昇にどのように対応するか、という点が非常に高いハードルになっています。その他にも、シニア層の健康や能力の維持、業務の確保、職場環境整備等といった人事施策が必要になる点が、企業の人事施策が計画的に進まない要因になっていると考えられます。シニア人材の活躍ということに関して、現場レベルでは何から始めればいいか分からないという状態の企業が非常に多く、とりあえず検討を開始してみたが、検討が長期化したり頓挫したりといったケースが多いです。その主な原因を考えると、意思決定するための現状分析と方針策定、シミュレーションが不十分なことがあげられます。   現状分析は、問題・課題の抽出をして分析するわけですが、少なくても以下の視点で実施することが必要です。   ①人員数・人員構成 現状の人員数が適正か、人員構成に問題がないか、将来的にどうなっていくのか   ②人件費単価 現状の自社の賃金レベルが労働市場においてどうなのか   ③シニア人材評価 現状の評価はシニア層の能力や貢献を適切に評価しているか、評価結果に偏りはないか   ④意識調査/職場環境調査 シニア社員を含め、モチベーションや組織の現状をソフト面・ハード面で分析すると どうなのか  この分析の結果を根拠とし、自社におけるシニア社員の活用方針を明確にして、経営と共有しておくことで、その後のシニア人事制度構築をスムーズに進めることが可能になります。シニア人事制度を構築・浸透させるには、会社全体での意識改革や政策の見直しへの取り組みが必要です。シニア人材の能力や貢献を正当に評価し、彼らが持つ経験や知識を最大限に活かす仕組みを整備することで、会社は多様性や包括性を促進し、持続的な成功を築くことができるのです。

不退転の覚悟のしどころ | 人事制度設計

不退転の覚悟のしどころ

 多くの企業が中期経営計画の中に、人事基盤の刷新、人事制度の見直し、経営計画と連動した人材戦略確立など、人事施策を中計の主要な柱に掲げている。しかし、3~5年の中期経営計画の中で、それこそ「基盤」が変わるほどの変化を遂げた会社はそう多くないと感じている。それは一重に、人事の変革において、経営が覚悟を以て取り組むべき所が実は人事施策の方針策定や制度設計の先にもある、ということの認知がされていないからなのではないかと思うのだ。ビジネスのステージや置かれている環境が異なり、改革に対する慎重度や見直しの必要性の度合い、求めているスピードの違いがあるので、大きな変化の有無を良い悪いと評価するつもりはない。ただ、大きな改革をやり遂げた企業の特徴をいえば、「最初から最後まで」経営が不退転の覚悟を以て取り組んでいると感じる。  最初から最後まで、とは大きくいうと、①方針・制度策定時、②制度導入時(社員説明を行う段)③制度運用時(毎年の配置変更、昇格・降格を見据えた評価時、もしくは格付け見直しの時)である。①においては、経営メンバーで議論をし、経営としての重要な施策であることから、経営、もしくは現場を巻き込みながら、各施策の必要性の検証やリスク分析などを行い、かなり慎重に重要な決断を下している。もちろん議論をつくし、大きな改革を行う必要があるのであれば、覚悟を経営メンバーで共有し、意思決定がなされる。これはよく見かける光景だ。しかし、実は人事の改革で極めて重要なのは②と③であるが、この重要性が意外と経営に認識されていないのではないかと思う。  人事制度は全ての社員にとって身近であり、処遇に関わることから、非常に注目度が高い。だからこそ、人事基盤の見直しをするときにはその改定の目的、社員に期待すること、もしくは変わってもらいたいこと、を理解させることが重要である。等級・給与・教育・評価、さらには人事部の在り方まで、しっかり議論がつくされ、合理的に設計されたのであれば、それを理解してもらうために、言葉を尽くす必要があるし伝えるための工夫が必要だ。  しかし、出来上がった制度をどう伝えるか、どのような布陣で社員説明の場に臨むかは、あまり議論されずに進んでいる会社をよく見かける。制度の伝え方についていえば、厳しさがあると受け入れられづらいのではないか、という配慮や質問されることをリスクととらえ、リスク回避の結果、本来実現したい改革の本質を「ぼかす」説明会にしてしまったケースもある。  また、直接社員に言葉で語りかける絶好の機会であるため、本来であれば、社長(経営)の口から強烈なメッセージを発信してほしいところだが、実際は「人事部長・人事課長の制度設計最後の仕事」となっており、テクニカルな仕組みについて理解させることに終始していることも多い。確かにそこも重要だが、経営の想い、考えは結局伝わらずに終わっているケースも多い。制度のエンドユーザーに直接触れる機会こそ、不退転の覚悟をもって、経営の目指す世界と制度のつながりをしっかり落とし込んで頂きたい。それがしっかり伝わったかが説明会の良しあしの判断基準でもよいくらいだ。  ここまでの話は②の代表的な制度導入時の話であるが、実はもう一つ覚悟をもって臨むべきは③の、制度の運用である。方針議論の際に、必ずといってよいほど、パフォーマンスの割に処遇(等級)の高い社員に対しての問題認識や、優秀な若手登用の話が語られる。優秀な人材であれば年齢に関係なく登用し、パフォーマンスが高くなければ適正な格付けにする。これをやりたいがための制度を目指して設計しても、いざ運用してみるとそのような対象者が一人も出ていない。登用のケースにおいては、象徴的な人を一人は出そう、という考えのもと、導入時に数名登用したりするが、その後が続かない、もしくはその真逆で、登用しすぎて、本来の人材イメージに合っていない人材が登用され、制度の狙いを大いにぼかしてしまっている。  中計実現のために成しえたかったことは制度設計だけでなく、運用を以て実現できるのだが、もはや運用の段になると経営の目も届きづらい。細かな人事運用の結果は経営報告されていないことも多いだろう。制度導入を経たら、経営も、もはや中計の柱である人事基盤の構築という仕事が終わったと思われているかもしれない。しかし、基盤は制度設計と運用で出来上がるものである。経営として、目指す世界を実現するための覚悟を持った運用を先陣きって進め、運用の指導して頂きたいと思う。加えていえば、人事や管理職に「不退転の覚悟をもった運用」をさせることが、経営として覚悟をもって進めなくてはならない仕事なのではないだろうか。

管理職昇進を望まない社員増加は心配事ではない | スマートアセスメント®

管理職昇進を望まない社員増加は心配事ではない

 近年は労働観が多様化し、管理職になりたくないという人が増えています。厚生労働省の調査(平成30年版労働経済の分析)によれば、実に61.1%もの人が「管理職に昇進したいと思わない」と回答しており、更に直近の調査会社の結果では80%という数字も散見されます。管理職になりたくない理由として、「出世欲がない」「責任が伴う」「仕事量が増える」が上位を占めます。バブルの時代「24時間戦えますか?」というフレーズが流行り、管理職になることはキャリアにおける一つの目標であったものの、現在は誰もが出世を夢見た時代は終わり、働き方が多様化し、仕事はほどほどに、私生活の充実も重視するライフワークバランス派の増加だけでなく、専門性を突き詰めるために管理職にならない道を選ぶポジティブなキャリアを選択する社員も増えているということです。  この様な状況から、企業の人事担当者との商談で、管理職登用試験を受けない社員が増えているが他社でも同じ傾向ですか。自分が試験を受けた時は、試験を受けられなかったらどうしようと思っていたのに・・・、という場面がリピートします。  企業としては、管理職になりたくない人が今後も増えていくことを前提に人事管理を行っていく必要となるものの、一方、現状の管理職層の問題課題として、40歳前半になると管理職に昇格させてきたことで、部下無し管理職や会社貢献が希薄な管理職の扱いに苦慮している企業は少なくありません。 「2:6:2の法則」「8割を2割が生み出す“パレートの法則”」から、会社を牽引する管理職は20%が適切で、80%の社員が管理職になりたくないことは、管理職の歪な状態を見直すトリガーになり得るとも言えます。ただし、留意点としては、会社が管理職にしたい社員が管理職を目指す仕組みが整っているかです。ミスマッチを回避するために、以下のようなことを確認することをお薦めします。これが全てではないですが。 ①本人のキャリアプラン確認(入社5年・10年の節目で複数回設定) ②会社からのメッセージ(上位職から君は管理職として会社を牽引する人材だと情熱を持って伝える、情熱が欠けると意味がない) ③人事制度(キャリアプランが選択できる複線型パス、適正な評価、報酬格差等) ④能力把握の適正診断(アセスメント等) ⑤管理職候補者に絞った育成研修(社員全員の底上げでなく選抜型での育成)  働き方の多様化から、管理職昇進を望まない社員の勢いは止めることは出来ないでしょう。管理職試験を受けたくない社員がいること自体、50代の管理職は理解できないことかもしれません。この傾向を管理職の歪さ解消を中心とした組織見直しのチャンスと捉え、前向きに人事管理に向き合っていくことができれば、決して心配することではないと言えます。どの様な場面においても、プラス思考を忘れなければ、進むべき路は見えてくるものです。