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人材育成方針策定

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労働力の量と質の推移 <br />~人口減少時代に向けて~ | 人事アナリシスレポート®

労働力の量と質の推移 ~人口減少時代に向けて~

 内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」によると、日本の総人口は今後減少し、65歳以上の人口割合が今後更に増えるという推計が算出されています。少子高齢化が進むにつれて生じる労働人口の減少により、日本経済が停滞してゆくことが危惧されています。日本経済が持続的に成長するためには、労働力をいかに維持するかが社会的な課題となっています。  こうした背景の中、労働力として注目されている一つが、65歳以上の人材の労働力確保です。2021年4月の改正高年齢者雇用安定法においても、70歳までの就業確保が企業の努力義務となっています。実際、図表1にもあるように、高齢者の就業率は年々上昇しています。65歳以上の高齢者の就業率は2015年から年々上がっており、直近の労働人口全体も緩やかに増えています。このように、労働力の"量"は高齢者の就業率増加もあり、短期的には維持できていることが見受けられます。 <図表1> 労働人口と65~69歳の就業率の推移 出所: 総務省(2023)「労働力調査(基本集計) 2023年(令和5年)1月分結果 20~69歳の人口、就業者数、就業率」をもとに作成  労働力の"質”の推移を確認するため、業界別の労働生産性 (労働者1人あたりが生み出す付加価値額)の推移と平均従業員数の推移を比較しながら解説します。  飲食サービス業(図表2-1)では、労働生産性は常に減少傾向にあり、従業員数も2019年以降は落ちている傾向があります。昨今、大手飲食チェーン店を中心に注文や配膳等業務の機械化が進んでいますが、一人当たりの付加価値=”質”の面では効果が表れていません(付加価値には人件費が含まれるため)。今後機械化がさらに進み、人員数が安定・最適化されたときに高い付加価値を生み出すことができているのかが重要になってきます。 <図表2-1> 労働生産性×従業員数の推移_飲食サービス業 出所:財務省(2021)「法人企業統計調査」をもとに作成  情報通信業(図表2-2)では、2016-2017年にかけて従業員数が減った一方で労働生産性が上がっており、2017-2018年では従業員数が増える一方で労働生産性が下がっており、それぞれが逆行した動きをしています。新規就労者が多く、業界内での転職等による人の動きが活発な情報通信業では、仮に即戦力採用の中途社員だとしても、付加価値への貢献=”質”といった意味では、業務習熟するために必要な経験を得ることに時間がかかりやすい、もしくは時間がかかってしまっている可能性があります。 <図表2-2> 労働生産性×従業員数の推移_情報通信業 出所: 財務省(2021)「法人企業統計調査」をもとに作成  医療福祉業(図表2-3)では、2018年度に従業員数が減少しましたが2020年以降は上昇傾向にあります。一方、労働生産性も2019年以降で安定的に上昇傾向にあります。高度な知識や資格の基盤が前提にある医療福祉業界では、即戦力として労働生産性=”質”に寄与しやすい業種といえます。 <図表2-3>労働生産性×従業員数の推移_医療福祉業 出所: 財務省(2021)「法人企業統計調査」をもとに作成  定年延長・再雇用の活用によって短期的には労働力の”量”の維持が期待できますが、将来的に総人口が減少する日本では少ない人数でいかに労働力を維持していくかが課題となります。そのため、労働力の“質”にも目を向け、労働人口が将来的に減ったとしても安定的な労働生産性が確保されるサービス形態への変換が求められるのではないでしょうか。限りある労働資源をいかに有効活用していき、労働生産性を高めていくかの議論が各企業内でより活発化していく必要があります。自社の生産性をより高めるための阻害要因を各社で見つめ直し、DX推進やリスキリング、イノベーション推進等によって業務効率化とその価値向上に務めることが重要となります。 以上

伸びない女性管理職割合・男女差が埋まらない育児休業率<br />~女性活躍推進への一歩は意識改革と即実行~ | モチベーションサーベイ

伸びない女性管理職割合・男女差が埋まらない育児休業率~女性活躍推進への一歩は意識改革と即実行~

 社会における女性活躍を軽視している人はいないでしょう。様々な手で女性が活躍できるようにと努力がなされています。しかし、実際の女性の活躍、男女の雇用機会均等の実現は想像以上に厳しい道のりです。  管理職に占める女性の割合は女性活躍を測る重要な指標の一つです。そして大きなライフイベントの一つである出産・育児についてもキーポイントとしてとらえる必要があります。  管理職に占める女性の割合は緩やかな上昇傾向ではありますが、男女雇用機会均等が実現しているとは言い難いのが現状です。特に実務の中心を担う部長、課長相当職の女性割合の低さが顕著であり、いかに女性管理職が生まれていないのかがわかります。  データで見ると、最も高い係長職に占める割合でも17.9%、部長相当職に占める割合にいたっては6.2%といまだに10%にも満たない状況です。 図表1: 企業規模30人以上における役職別女性管理職割合の推移 出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」注1)平成23年度は岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果  女性の活躍が進まない背景の一つの理由として出産・育児があげられるのではないでしょうか。育児休業を取ることができる労働環境は必須ですが、いまだに男性は育児休業を取りづらい、取るべきではないという意識があるのではないかと推察します。  育児休業者率の推移データを見ると、女性は平成19年度以降、80%を超える水準で推移していますが、男性は平成29年度に5%を超え、そこからやや上昇、令和2年度は12.7%となっています。依然として男女での差が大きい状態が続いており、男性の育児休業取得が進んでいないことがわかります。 図表2:育児休業取得率 出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」注1)平成22年度及び平成23年度の比率は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果  また、この育児休業取得率を産業別に見ても、男女の差は明らかです。  金融業,保険業が男性の取得率で最も高く30%を超えていますが、女性のとの差は50%以上です。電気・ガス・熱供給・水道業の男性取得率が最も低く、2.95%という状況です。業種による人材流動性の高低や雇用環境、職種など様々な要因がありますが、男女の差がなく、かつ高い水準であることが理想でしょう。 図表3:産業別育児休業取得率 出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」注1)平成30年10月1日~令和元年9月30日に出産した者又は配偶者が出産した者のうち、調査時点(令和2年10月1日)までに育児休業を開始した者(開始の予定の申出をしている者を含む。)の割合  労働力不足の中、多様な人材の活用が必須の現代で、女性が活躍できないことは大きな問題です。これを脱却するポイントは、男性・女性、既婚・未婚、子どもを持つ・持たないに関わらず、優秀な人材の育成と登用、働く環境の整備をしていくことです。育児休業に限って言えば、まずは企業として男女関わらず育児休業を取ることや、復帰後も活躍することはごく普通のことであるという意識改革、そして社員に子どもが生まれたら育児休業を勧めるような、即時実行が必須です。  また、企業側の努力のみならず、働く側の意識改革と実行が重要です。男女の雇用機会均等は、家事分担や育児分担がなされていることが前提です。特に共働き世帯では、家事や育児について家庭でストレートに話し合い、育児をしながらも活躍できる、または活躍するという意識を持つことで、道は拓けていくでしょう。  誰もが平等に活躍できる社会の実現は、意識改革からの実行にあるといえます。 以上

労働力人口<br />~多様な人材の活用と労働力需要の抑制がカギ~ | 適正人員・人件費算定

労働力人口~多様な人材の活用と労働力需要の抑制がカギ~

 現在、日本の人口は減少傾向にあり、同時に労働力も伸び止まりを見せています。今回は労働力人口の推移や、年齢別や性別といった属性ごとの就業者数について解説します。  労働力人口の過去の推移をみると、1990年代半ばまでは増加傾向にあり、1990年以降は伸び止まり、そして若干の減少傾向にありました。2010年代半ばからは僅かながら減少に歯止めがかかっています。女性や高齢者の活用により労働力の内訳を変えることにより、大幅な減少は免れている状況ですが、いずれは減少傾向に転じるでしょう。 図表1:労働力人口(単位:万人) 出典: 総務省統計局 「労働力調査」注)労働力人口の1952年以前は14歳以上人口のうちの該当する者 労働力人口とは、満15歳以上のうち、労働する意思と能力を持った人口を指す。具体的には、実際に働いている人のほか、労働の意思や能力があるものの失業中の人が含まれており、満15歳以上であっても専業の学生や主婦は除かれている。  そこで、年代別の就業者数と就業者に占める60歳以上人口の割合を見てみると、就業者全体の数は1995年をピークに減少傾向にあるものの、60歳以上の就業者は増加しています。60歳以上の就業者は1980年時点で約540万人でしたが、2015年には約1270万人と2.3倍の伸びを見せています。就業者全体に占める割合においても、1980年ごろまでは9%前後で推移していたものの、2015年時点では21.5%とやはり大きく増加しています。  今後は、少子高齢化により59歳以下の労働力の確保がますます難しくなるため、労働力を充足すべく定年延長や定年再雇用はますます進み、60歳以上の就業者は増加するでしょう。 図表2:年齢別就業者数・60歳以上割合 出典: 総務省「国勢調査」  続いて、男女別の就業者数と就業者に占める女性の割合を見てみます。男性の就業者数は、労働力人口・就業者数全体の推移と同様に伸び止まり、1995年以降は減少傾向にあります。  一方、女性の就業者数は1995年から近年に至るまで2600万人弱の水準でほぼ横ばいに推移しており、労働者に占める女性労働者の割合は増加傾向にあります。労働力人口の減少に伴っていずれは女性就業者数も伸び止まりを見せると思われますが、当面は女性労働者の割合が増え、労働市場全体や各企業内の労働力構成が大きく変わっていくでしょう。 図表3:男女別就業者数・女性割合 出典: 総務省「国勢調査」    女性・高齢者の他に外国人労働者の活用も年々進んでおり、2008年の48万人から2020年の172万人へと約3.5倍に増えています  少子高齢化により日本全体の人口が減少する中、今後も労働力人口が大きく増加することは考えづらい状況です。国内労働力の減少や構成の変化を受けて企業内のポートフォリオも大きく変化をしていくことでしょう。例えば1980年以前は外国人や高齢者の労働者は割合的にはほとんどおらず、女性も1/3程度でしたが、近い将来、男女が5:5の割合となり、外国人労働者が労働者全体の10%を超え、高齢者の割合も現在と比べて非常に高くなるでしょう。  今後に目を向けると、労働力の需給のコントロールが重要性を増します。前述の通り労働力は減少傾向になるので、女性や高齢者・外国人の活用によってダイバーシティを促進し供給量を増やすことが必要です。そして、ITやロボティクスなどの先端技術の活用や生産性向上施策によって、そもそもの労働力需要を抑えることも重要となります。  迫りくる労働力人口の不足を前に、各企業は女性・高齢者、外国人を戦力化しやすい労働環境の整備と、従業員の生産性向上施策、そして先端技術の活用による労働力需要の抑制を両立しなければなりません。

適切な管理職の割合は約10%|業種・企業規模別の管理職比率 | 人事アナリシスレポート®

適切な管理職の割合は約10%|業種・企業規模別の管理職比率

 管理職は経営陣と一体となり、会社を牽引する非常に重要な役割を担うポジションです。重要性は極めて高く、指揮指導により組織を牽引する社員が全社員に占める割合は決して多くはないはずです。管理職比率の妥当な水準はどの程度なのかを探るべく、企業規模別・業種別の管理職比率のデータを解説します。  図表1は、企業規模別の正社員に占める部長比率・課長比率を示しています。企業規模が大きいほど部長比率は低く、課長比率は高い傾向にあることが分かります。部長比率に関しては、大企業であれ、中小企業であれ、部として設ける機能の数に大きな差が無く、必要な部の数に大きな差が無いため、大企業の方が社員に占める部長の数が少なくなることが考えられます。  一方の課長比率については、中小企業では組織規模が小さいことから、部長が課長の役割も兼ねるケースがあることや、大規模な組織では課長代理・課長補佐など、ラインマネジメントを担わないものの年功的な観点から課長級として処遇される社員を抱える余裕があることなどが影響していることが考えられます。  こうした傾向があるとは言え、部長比率・課長比率の合計はいずれの企業規模においても10%程度と、顕著な差がある訳ではありません。この数字は、実感とかなりの乖離があるのではないでしょうか。管理監督者の比率という観点では、特に年功的な人事管理を行っており平均年齢の高い会社では、30~50%という会社も散見されます。単に組織の管理者という視点では10%程度で足りるのに対してかなりのギャップがあることが分かります。   (図表1)管理職比率(平成30年) 出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』  次に、図表2で業種別に管理職比率をみてみると、産業計や他の業種と比較して、建設業では突出して高く、運輸業・郵便業は低いことが分かります。建設業では、1つの現場に対して元請け、下請け、孫請けがあるなど、ビジネスの構造が多重構造となっており、関与社数が多く、各社ごとに管理職社員がいるため、業界全体としても管理職比率が高くなっているのです。  一方の運送業では、管理職は運送・配送という単一の業務を担う人材を取りまとめるため、管理する部下の数を多く持てること、収益性の観点から管理する社員よりも現業に関わる社員を多くする方が効率的であることから、管理職比率が低く抑えられているのです。   (図表2)産業別部長比率および課長比率(平成30年) 出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』  管理職比率が図表1や図表2の水準並みである場合も、管理職比率と管理監督者比率の間に大きな乖離がある場合には、総額人件費や労務的の観点で問題があり、早急な見直しが必要です。  また、最適な管理職比率はビジネスモデルのあり方や正社員比率などにも依存するため、外部の水準によらず、ユニークな場合もあります。定期的に生産性の指標や、管理される側の従業員の働きやすさなどをモニタリングし、自社に合った水準を探り、上手くコントロールすることが望ましいです。 以上