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新卒社員の離職率<br />~企業のキャリア教育に対する責任とは~ | モチベーションサーベイ

新卒社員の離職率~企業のキャリア教育に対する責任とは~

 新卒採用しても一戦力化する前に離職してしまうという課題を抱えている人事担当者の方は多いのではないでしょうか。日本はゼネラリストとして育成することを前提とした採用が中心のため、一人前として成長する前に離職となると企業にとって大きな損失となります。離職防止策として初任給の引き上げが行われることも多いですが、社員がモチベートされる理由は賃金以外にも様々な理由があります。そのため、各企業は賃金以外についても課題がないか実態を把握する必要があります。  新規大学就職者の3年以内離職率は企業規模が大きいほど低くなるものの、最も離職率が低い1,000人以上の企業でも約25%と4人に1人は入社3年以内に退職しており、非常に高い傾向にあります。企業規模が大きくなるほど退職率が低くなる理由としては、大企業ほど社員への雇用責任が強く求められ、雇用者が手厚く守られているということが挙げられます。 (図表1:新規大卒就職者の企業規模別3年以内離職率(平成30年3月卒)) 出典:厚生労働省「令和3年 新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況」を加工して作成  そして、最も離職率の低い大企業でも約25%もの新規大卒就職者が退職しているということは、採用の際に企業側と学生側で職務に関するミスマッチが起きていると考えられます。  現に、自己都合退職した20~24歳の離職理由として、「満足のいく仕事内容でなかったから」が約4人に1人おり、「賃金が低かったから」を若干上回ります。この背景として、日本におけるキャリア教育は不十分であり、実際に働くことを想定した講義は多くないということが挙げられます。キャリア教育が不十分な結果、仕事を通じて実現したいことは何か曖昧なまま就職活動を行い、働くにつれ「想像していた仕事と違う」となった結果、離職に繋がっているのです。企業側も、新卒一括採用で一度に多くの候補者の中からポテンシャルを重視して採用することも多く、その人が本当に適性や業務遂行する十分な能力を有しているのか正確に判断することは難しい状況です。 (図表2:20~24歳における自己都合退職者の離職理由) 出典:厚生労働省「令和2年 雇用の構造に関する実態調査(転職者実態調査)」を加工して作成注)上記データは「最終学歴」「直前の勤め先での就業形態」「現在の勤め先での就業形態」による区分はされておらず、また、新卒者以外も含まれる。  また、20~24歳の転職者が今の勤め先(転職後の勤め先)を選んだ理由として最も多く、約半数を占めるのは「仕事の内容・職種に満足がいくから」です。「自分の技能・能力が活かせるから」が次に続いていることからも、就職前ではなく働き始めてから、自らの適性や仕事を通じた目標などキャリアが明確になり、新たな環境を選択する社員が増えていると推察されます。 (図表3:20~24歳の転職者における今の勤め先を選んだ理由) 出典:厚生労働省「令和2年 雇用の構造に関する実態調査(転職者実態調査)」を加工して作成注) 上記データは「最終学歴」「現在の勤め先での職種」「現在の勤め先での就業形態」「事業所規模」による区分はされていない。  職務に関するミスマッチを減らすために、企業・教育機関は連携して、学生が働くことに対して向き合う機会を積極的に提供しなければなりません。例えば、長期休暇期間だけの補助業務や体験業務のような短期インターンシップだけではなく、より実務に近い業務を担う長期間のインターンシップ制度を充実させることで、企業・学生共に適性を把握することができます。また、学校は働くことを意識した講義の充実に加え、学生がインターンシップで認識した不足しているスキルを補えるような環境を整備しなければなりません。 また、採用担当者は、選考段階から入社後に担う職務と目指すキャリアゴールを説明しなければなりません。説明するためには、どのような方針をもとに人事制度が制定されているのか採用担当者は理解を深める必要があります。そもそも人事制度のコンセプトと会社方針が連動していない場合は人事制度そのものを見直さなければなりません。経営目標を達成するにはどのような人材が求められ、各人材群はどのようなキャリアを描くことができるのかが整理されて初めて、採用すべき人材が明確になります。  新卒社員の離職率を下げるためには賃金以外にも、「どのような能力を発揮し、キャリアを歩んでもらいたいのか」という企業側の思い、そして、社員一人ひとりの「職務を通じて達成したい目標」の双方が合致するよう、採用までの在り方を見直さなければならないのです。 以上

伸びない女性管理職割合・男女差が埋まらない育児休業率<br />~女性活躍推進への一歩は意識改革と即実行~ | モチベーションサーベイ

伸びない女性管理職割合・男女差が埋まらない育児休業率~女性活躍推進への一歩は意識改革と即実行~

 社会における女性活躍を軽視している人はいないでしょう。様々な手で女性が活躍できるようにと努力がなされています。しかし、実際の女性の活躍、男女の雇用機会均等の実現は想像以上に厳しい道のりです。  管理職に占める女性の割合は女性活躍を測る重要な指標の一つです。そして大きなライフイベントの一つである出産・育児についてもキーポイントとしてとらえる必要があります。  管理職に占める女性の割合は緩やかな上昇傾向ではありますが、男女雇用機会均等が実現しているとは言い難いのが現状です。特に実務の中心を担う部長、課長相当職の女性割合の低さが顕著であり、いかに女性管理職が生まれていないのかがわかります。  データで見ると、最も高い係長職に占める割合でも17.9%、部長相当職に占める割合にいたっては6.2%といまだに10%にも満たない状況です。 図表1: 企業規模30人以上における役職別女性管理職割合の推移 出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」注1)平成23年度は岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果  女性の活躍が進まない背景の一つの理由として出産・育児があげられるのではないでしょうか。育児休業を取ることができる労働環境は必須ですが、いまだに男性は育児休業を取りづらい、取るべきではないという意識があるのではないかと推察します。  育児休業者率の推移データを見ると、女性は平成19年度以降、80%を超える水準で推移していますが、男性は平成29年度に5%を超え、そこからやや上昇、令和2年度は12.7%となっています。依然として男女での差が大きい状態が続いており、男性の育児休業取得が進んでいないことがわかります。 図表2:育児休業取得率 出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」注1)平成22年度及び平成23年度の比率は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果  また、この育児休業取得率を産業別に見ても、男女の差は明らかです。  金融業,保険業が男性の取得率で最も高く30%を超えていますが、女性のとの差は50%以上です。電気・ガス・熱供給・水道業の男性取得率が最も低く、2.95%という状況です。業種による人材流動性の高低や雇用環境、職種など様々な要因がありますが、男女の差がなく、かつ高い水準であることが理想でしょう。 図表3:産業別育児休業取得率 出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」注1)平成30年10月1日~令和元年9月30日に出産した者又は配偶者が出産した者のうち、調査時点(令和2年10月1日)までに育児休業を開始した者(開始の予定の申出をしている者を含む。)の割合  労働力不足の中、多様な人材の活用が必須の現代で、女性が活躍できないことは大きな問題です。これを脱却するポイントは、男性・女性、既婚・未婚、子どもを持つ・持たないに関わらず、優秀な人材の育成と登用、働く環境の整備をしていくことです。育児休業に限って言えば、まずは企業として男女関わらず育児休業を取ることや、復帰後も活躍することはごく普通のことであるという意識改革、そして社員に子どもが生まれたら育児休業を勧めるような、即時実行が必須です。  また、企業側の努力のみならず、働く側の意識改革と実行が重要です。男女の雇用機会均等は、家事分担や育児分担がなされていることが前提です。特に共働き世帯では、家事や育児について家庭でストレートに話し合い、育児をしながらも活躍できる、または活躍するという意識を持つことで、道は拓けていくでしょう。  誰もが平等に活躍できる社会の実現は、意識改革からの実行にあるといえます。 以上

労働力人口<br />~多様な人材の活用と労働力需要の抑制がカギ~ | 適正人員・人件費算定

労働力人口~多様な人材の活用と労働力需要の抑制がカギ~

 現在、日本の人口は減少傾向にあり、同時に労働力も伸び止まりを見せています。今回は労働力人口の推移や、年齢別や性別といった属性ごとの就業者数について解説します。  労働力人口の過去の推移をみると、1990年代半ばまでは増加傾向にあり、1990年以降は伸び止まり、そして若干の減少傾向にありました。2010年代半ばからは僅かながら減少に歯止めがかかっています。女性や高齢者の活用により労働力の内訳を変えることにより、大幅な減少は免れている状況ですが、いずれは減少傾向に転じるでしょう。 図表1:労働力人口(単位:万人) 出典: 総務省統計局 「労働力調査」注)労働力人口の1952年以前は14歳以上人口のうちの該当する者 労働力人口とは、満15歳以上のうち、労働する意思と能力を持った人口を指す。具体的には、実際に働いている人のほか、労働の意思や能力があるものの失業中の人が含まれており、満15歳以上であっても専業の学生や主婦は除かれている。  そこで、年代別の就業者数と就業者に占める60歳以上人口の割合を見てみると、就業者全体の数は1995年をピークに減少傾向にあるものの、60歳以上の就業者は増加しています。60歳以上の就業者は1980年時点で約540万人でしたが、2015年には約1270万人と2.3倍の伸びを見せています。就業者全体に占める割合においても、1980年ごろまでは9%前後で推移していたものの、2015年時点では21.5%とやはり大きく増加しています。  今後は、少子高齢化により59歳以下の労働力の確保がますます難しくなるため、労働力を充足すべく定年延長や定年再雇用はますます進み、60歳以上の就業者は増加するでしょう。 図表2:年齢別就業者数・60歳以上割合 出典: 総務省「国勢調査」  続いて、男女別の就業者数と就業者に占める女性の割合を見てみます。男性の就業者数は、労働力人口・就業者数全体の推移と同様に伸び止まり、1995年以降は減少傾向にあります。  一方、女性の就業者数は1995年から近年に至るまで2600万人弱の水準でほぼ横ばいに推移しており、労働者に占める女性労働者の割合は増加傾向にあります。労働力人口の減少に伴っていずれは女性就業者数も伸び止まりを見せると思われますが、当面は女性労働者の割合が増え、労働市場全体や各企業内の労働力構成が大きく変わっていくでしょう。 図表3:男女別就業者数・女性割合 出典: 総務省「国勢調査」    女性・高齢者の他に外国人労働者の活用も年々進んでおり、2008年の48万人から2020年の172万人へと約3.5倍に増えています  少子高齢化により日本全体の人口が減少する中、今後も労働力人口が大きく増加することは考えづらい状況です。国内労働力の減少や構成の変化を受けて企業内のポートフォリオも大きく変化をしていくことでしょう。例えば1980年以前は外国人や高齢者の労働者は割合的にはほとんどおらず、女性も1/3程度でしたが、近い将来、男女が5:5の割合となり、外国人労働者が労働者全体の10%を超え、高齢者の割合も現在と比べて非常に高くなるでしょう。  今後に目を向けると、労働力の需給のコントロールが重要性を増します。前述の通り労働力は減少傾向になるので、女性や高齢者・外国人の活用によってダイバーシティを促進し供給量を増やすことが必要です。そして、ITやロボティクスなどの先端技術の活用や生産性向上施策によって、そもそもの労働力需要を抑えることも重要となります。  迫りくる労働力人口の不足を前に、各企業は女性・高齢者、外国人を戦力化しやすい労働環境の整備と、従業員の生産性向上施策、そして先端技術の活用による労働力需要の抑制を両立しなければなりません。

適切な管理職の割合は約10%|業種・企業規模別の管理職比率 | 人事アナリシスレポート®

適切な管理職の割合は約10%|業種・企業規模別の管理職比率

 管理職は経営陣と一体となり、会社を牽引する非常に重要な役割を担うポジションです。重要性は極めて高く、指揮指導により組織を牽引する社員が全社員に占める割合は決して多くはないはずです。管理職比率の妥当な水準はどの程度なのかを探るべく、企業規模別・業種別の管理職比率のデータを解説します。  図表1は、企業規模別の正社員に占める部長比率・課長比率を示しています。企業規模が大きいほど部長比率は低く、課長比率は高い傾向にあることが分かります。部長比率に関しては、大企業であれ、中小企業であれ、部として設ける機能の数に大きな差が無く、必要な部の数に大きな差が無いため、大企業の方が社員に占める部長の数が少なくなることが考えられます。  一方の課長比率については、中小企業では組織規模が小さいことから、部長が課長の役割も兼ねるケースがあることや、大規模な組織では課長代理・課長補佐など、ラインマネジメントを担わないものの年功的な観点から課長級として処遇される社員を抱える余裕があることなどが影響していることが考えられます。  こうした傾向があるとは言え、部長比率・課長比率の合計はいずれの企業規模においても10%程度と、顕著な差がある訳ではありません。この数字は、実感とかなりの乖離があるのではないでしょうか。管理監督者の比率という観点では、特に年功的な人事管理を行っており平均年齢の高い会社では、30~50%という会社も散見されます。単に組織の管理者という視点では10%程度で足りるのに対してかなりのギャップがあることが分かります。   (図表1)管理職比率(平成30年) 出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』  次に、図表2で業種別に管理職比率をみてみると、産業計や他の業種と比較して、建設業では突出して高く、運輸業・郵便業は低いことが分かります。建設業では、1つの現場に対して元請け、下請け、孫請けがあるなど、ビジネスの構造が多重構造となっており、関与社数が多く、各社ごとに管理職社員がいるため、業界全体としても管理職比率が高くなっているのです。  一方の運送業では、管理職は運送・配送という単一の業務を担う人材を取りまとめるため、管理する部下の数を多く持てること、収益性の観点から管理する社員よりも現業に関わる社員を多くする方が効率的であることから、管理職比率が低く抑えられているのです。   (図表2)産業別部長比率および課長比率(平成30年) 出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』  管理職比率が図表1や図表2の水準並みである場合も、管理職比率と管理監督者比率の間に大きな乖離がある場合には、総額人件費や労務的の観点で問題があり、早急な見直しが必要です。  また、最適な管理職比率はビジネスモデルのあり方や正社員比率などにも依存するため、外部の水準によらず、ユニークな場合もあります。定期的に生産性の指標や、管理される側の従業員の働きやすさなどをモニタリングし、自社に合った水準を探り、上手くコントロールすることが望ましいです。 以上

日本の人口ピラミッドから、会社の社員の年齢構成と人事課題を再認識する | 人材開発

日本の人口ピラミッドから、会社の社員の年齢構成と人事課題を再認識する

 今後の日本の人口ですが、現在2020年から2050年に向かい大幅に減少します。この現象と同時に高齢化が驚くほどのスピードで進行することになります。このトレンドはすでに十分に認識されていますが、今後の日本企業、人事管理に決定的でかつてない影響を与えることを再認識する必要があります。マクロトレンドとしての人口推移が個別企業の人事管理にどのような影響を与えるかを、現時点で十分に認識し、今から備えなくてはなりません。  下図は2050年の日本の人口ピラミッド予想です。一見して生産年齢人口が減少し、老齢人口が激増、年少人口が減少します。重要であるのは生産年齢人口比率で、2050年はほぼ50%の比率まで低下します。生産年齢人口比率が高いレベルにあった1990年と比較すると、一見してそのインパクトは想像以上であるとわかります。1990年は生産年齢人口は約70%でした。   出典:総務省統計局『国勢調査』及び『日本の将来推計人口(平成29年推計)』出生中位・死亡中位仮定による ※2015年以前は総務省統計局『国勢調査』, 2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(平成29年推計)』[出生中位(死亡中位)推計]による    少子高齢化が進行するとともに。生産年齢人口の負担が激増することも非常に重要な論点ですが、個別企業の人事管理上最も大きな影響があるのは、人手不足となります。新たな人材を採用しようとしても、若手社員の採用は今よりも驚くほどハードルが高くなります。 中高年社員、ないしは60歳~65歳の前期老齢人口の戦力化は避けて通れない極めて重要な施策です。さらには65歳以上の社員の活用も視野に入れなくてはなりません。  人手不足、老齢社員の徹底活用に加え女性活用、外国人活用、BPRの推進なども含めて、30年後に向けて現時点から改革を進める必要があります。日本全体としても、個別企業としても人口問題はゆっくりとしたスピードで深刻さを増すことになりますので、改革改善のタイミングがとりづらいといわれています。しかし今からこれらの施策を実施しなければ、若手社員は離職していき、再教育や意識改革ができていない中高年、老齢社員のみが在籍する企業となってしまう可能性が非常に高いと言わざるを得ません。今一度日本の人口ピラミッド及び自社の社員構成を再認識する必要があります。