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非正規雇用の割合は30年で2割から4割に増加|人件費構造の見直しが企業の急務

 ここ30年の間に非正規雇用者はその数でも、雇用者に占める割合でも大きく増加してきました。近年では、非正規雇用の活用の弊害や限界も指摘されていることから、今後は非正規雇用者の正規社員化や処遇の改善が進み、非正規割合の伸びは鈍化し、その後は減少傾向になることが予想されます。非正規割合の高い業種や企業では収益構造の転換が求められるでしょう。

 図1を見ると、平成の約30年の間に、雇用者に占める非正規雇用者の割合は約2倍へ大きく増加していることが分かります。平成元年の非正規割合は約20%でしたが、平成31年には約40%と、雇用者の5人に2人が非正規雇用者となっています。平成9年の消費税増税や平成10年の金融危機の影響から景気が急速に悪化し、特に平成10年から平成15年までの5年間は非正規割合の伸び率が突出して高くなっています。この5年間の雇用者全体の内訳を見ると、正規雇用者数が減少し、非正規雇用者数が増加しています。景気の悪化を理由に、各企業が非正規化を進めたのです。

 

(図1)労働人口構成

出典:総務省統計局『労働力調査 長期時系列データ(詳細集計)』

 これまで、人件費をできる限り抑え利益を確保する目的で、非正規雇用者の活用が進んできましたが、こうした目的での非正規活用はあらゆる問題もはらんでいます。例えば、非正規雇用者の賃金の低さ、経年での賃金上昇の少なさ、社会保険への未加入などです。そこで近年、同一労働同一賃金や無期転換の促進、社会保険の加入対象の拡大など、非正規雇用者の処遇改善への動きが見られるようになりました。

 これらの動きを背景に、今後は非正規雇用者の処遇が正規雇用者並に引き上げられること、非正規雇用者の正規雇用化が進むことが見込まれます。これらは、非正規活用を進めてきた企業の人件費コストを大きく押し上げることとなるでしょう。例えば、総従業員数100名、非正規雇用者の比率が50%の企業で、非正規雇用者全員を正規雇用化するとします。正規雇用化に伴い給与水準の引き上げや賞与の支給などを行い、1名あたりの人件費単価が200万円増加する場合には、企業全体で1億円もの追加の人件費が発生します。

 非正規雇用者を多く活用することで戦略的に利幅を上げてきた企業ほど、非正規雇用者の処遇改善のための人件費負担を重く背負うこととなるため、人件費構造や利益構造の見直しが急務となります。

以上

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