01
日本経済の縮小
2030年代に向かって、世界経済は大きく変化します。
経済の中心は欧米の2極集中が戦後以降長く続いていますが、中国をはじめ多くの新興国の経済成長により、多極体制に移りつつあります。一方で日本の経済規模は世界において絶対的・相対的に縮小。このトレンドはこの20年の傾向でもあり、それが加速するというものです。
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今後の経営・人事管理を考える上で、具体的にイメージがしやすい2030年代を想定し、主要な環境変化を整理してみましょう。
大きな環境変化として、「日本のプレゼンス低下」「人口減少・少子高齢化」「企業戦略の転換」「テクノロジーの進化」「ライフスタイルの変化」の
5つが考えられます。
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2030年代に向かって、世界経済は大きく変化します。
経済の中心は欧米の2極集中が戦後以降長く続いていますが、中国をはじめ多くの新興国の経済成長により、多極体制に移りつつあります。一方で日本の経済規模は世界において絶対的・相対的に縮小。このトレンドはこの20年の傾向でもあり、それが加速するというものです。
02
日本の人口は高度成長時代を経て1967年に1億人を超え、2008年にピークとなる1億2808万人となりました。
その後は、一転して減少傾向となり、2048年に1億人、2100年には5,000万人まで減少すると予想。
深刻な「人口減少社会」に突入しており、今後はさらに顕著になるでしょう。すでにほとんどの業界で慢性的な人手不足が生じています。
03
経済規模の縮小や人口減少に立ち向かうために、積極的なグローバル展開が求められます。
従来は日本に軸足を置いた他国へのビジネス展開が中心でしたが、今後はグローバル市場をターゲットとした戦略への転換が求められます。
要するにこれからの日本は、1ローカルエリアという位置づけになるということです。
04
AI・RPAといった新しいテクノロジーが私たちの社会に浸透し、就業者数の変動、求められる仕事やスキルの質的な変化が起こります。
データとデジタル技術を使いこなすことが重要になる一方、AI・RPAの代替により生じる余った労働時間で、人間にしかできない仕事に注力し、プラスαの付加価値を生む必要があります。
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外国人雇用や女性労働者、高齢者労働者、さらにフリーランスや非正規雇用など、働き方もまたこれまで以上に多様化します。
この労働の多様化は性別・年齢といった外形的な変化だけにとどまりません。価値観など内面変化を生じさせながら、行動変容とともに、新しいライフスタイルも増えていくことでしょう。
人口減少・少子高齢化、テクノロジーの進化、働き方とライフスタイルの変化など、かつて経験したことのない変化が生じるため新たな課題も発生します。現状の人事管理レベルを踏まえて考慮すると、人事管理はできるだけ早くドラスティックに変化を遂げなくてはなりません。
人事管理のキーとなる見直しとして、挙げられる9つの領域をご紹介します。
今後は正社員や非正社員という枠組みの雇用構造でなくなる可能性が高いと考えられます。正社員の「就社」的意識や雇用の仕組みも同様に大きく変化するでしょう。
また、非正社員やフリーランスも含め、これまで少数派だった雇用形態が増加することも予想されます。こうした背景を踏まえ、企業として人事制度の大幅な見直しが不可欠となります。
産業構造の変化やテクノロジーの進化により、必要な職種が大きく変化します。これは企業の人事管理に極めて大きな影響を与えます。
今までは総合職や一般職などに分類されていましたが、今後は価値が大幅に上がる職種と価値が非常に低くなる職種が生まれるでしょう。職種構成の変化により、職種別人事管理が急に進むことも予想されます。
国内の生き残り競争が熾烈になり、高齢者社員の増加によって、実力・職務での報酬が浸透します。 また職種別に労働市場が発達するでしょう。
そのため今までは総合職として営業や内部管理、研究開発が一括りにされていましたが今後はまったく異なる報酬水準に変化することが予想されます。市場に連動した報酬制度が必要です。
評価は現時点でも大きな課題を抱えています。評価が適正に機能していると断言できる企業はほとんど見当たらないということです。
今後の実力・職務主義的な人事制度下においては、企業として、社員として適正な評価を実現しなくてはなりません。そのため評価についてはより正確性を増すための仕組みが必要になります。
企業内教育は、経営全体の中で重要な位置づけになく、業績が低下すると真っ先に予算から外される領域でした。業績低下時こそ教育が必要です。
今後は環境変化やビジネスモデルの進化、雇用構造転換によって社員に求められるスキルも変化します。 必要なスキルを必要な時に提供できるような仕組みが必要となるでしょう。
日本は終身雇用がベースでしたが、さまざまな外的要因により積極的な人材の入れ替えが求められるようになります。リストラ的感覚ではなく、そもそもの環境変化の対応に向けた雇用構造の組み立て直しは必須です。
そのため雇用の流動化施策は急務であり、いずれは人事運用における日常的な施策となるでしょう。
多様な働き手、成熟した社会環境、テクノロジーの進化により、働き方が大きく変化。 企業側も在宅での執務環境整備や人事評価制度の改定が必要となります。こうした働き方の変化は、新型コロナウイルスにより図らずも強力に推進されました。
今後もより一層、さまざまな工夫と配慮を重ねながら高度に定着していくことになります。
高齢者の労働参加が必須となってい ます。企業としても高齢者を戦力化するとともに、加齢によるパフォーマンス低下を避けなければなりません。そのため健康意識の向上や健康増進施策は生命線ともいえる重要な施策となります。
健康経営により中期の可否が向上すると言っても過言でないくらい、企業の重要方針・施策です。
グローバル展開か、国内市場で新たな価値を創造するかの、戦略選択が迫られる中、人材力こそ決定的な競争力の差になります。そのため人事機能は、企業経営の戦略・計画を実現する重要な位置付けに再定義する必要しなければなりません。
既存の人事機能の運用レベルから発想を大きく変えることが重要です。